以前担当したお客様からのご相談。複数の関係者が絡む相続の問題に、覚悟を決めて、徹底的に向き合った。

中国九州営業部
広島エリアグループ
営 業(取材時)

原 祐一郎
2007年12月1日入社

STORY 01

9年越しのお客様との再会。

I様は9年ほど前に新築マンションへのお住替えのため、ご自宅の売却をお手伝いさせていただいて以降、年賀状などのやりとりを続けていた長いお付き合いをさせていただいているお客様でした。そのI様からある日、深刻なご相談をいただいたのです。「実は、親から相続する予定の不動産について親族と揉めています。親族のうちの1人が、懇意にしている税理士をこの話に巻き込んでおり、収拾がつかなくなってしまっています。どうかこの件を収めていただけないでしょうか」と。I様は、心臓病を患っておられ、このお話をされるだけでも呼吸困難になってしまうくらいお身体の具合が悪い状態でした。私を信頼していただいた切なる思い…。その期待にお応えしたい。なんとかお悩みを解消して差し上げたいという気持ちが強く、私はこのご依頼に取り組むことを決意しました。関係者の方々に信頼していただくためにも、また客観的に公平性をもって関係者の方々一人ひとりを説得するためにも、知識は欠かせないものです。税の専門家が関わっているということもあり、まずは税法や民法などの法律の専門書をひらいて判例などを学び直すことから取り組みました。

STORY 02

謂れのない誹謗中傷にも耐える。

I様には3名のご兄弟がおり、I様を含めた4者が中心となる関係者でした。私は各ご家庭を一件一件まわり、I様以外の方たちが考えておられることを丁寧にヒアリングしました。相続問題が発生した場合、皆それぞれに強い想いがあるからこそ、ちょっとした意見の食い違いが話を複雑にしてしまいます。だからこそ関係者全員の話を聞き、その食い違いの原因を明らかにし、解決策を提案することが重要です。全ての関係者に等しくお話が伝わるよう、また正しく話を理解していただけるよう、解決に至るまでの約1年間、それぞれのご家庭に十数度足を運び対話を重ねました。ご兄弟は皆、70歳~80歳のご高齢。最初は、「いくらもらってこの仕事を引き受けたんだ」などと批判的な言葉を浴びることもありました。ですが、熱意をもって、客観的に冷静に対話を重ねる中で、約1年という時間をかけてご兄弟皆様の合意を得ることができました。

STORY 03

「私の重荷を半分背負ってくれて、本当に感謝しています」

この時I様からいただいた手紙や言葉は、今でも忘れることができません。「実は、今回の件を原さんにご相談すべきものか大変悩みました。もしも相談すれば、原さんはきっと私の重荷を半分背負って必死になってくださるに違いない。そういう方だから最終的に土地を売却できる話になるかどうかも分からないご相談などしない方が良いのではないか…。でも、原さんにご相談して本当によかった。本当に感謝しています」と手をついて言葉を詰まらせながらお話をされる姿に、私も感動して自然と涙が流れていました。
I様とはもちろん今も親交があり年の瀬にご挨拶にも伺っています。最初の出会いから何年、何十年経っても、お客様の人生のターニングポイントに、顔を思い浮かべていただけるのが、私たちの仕事の醍醐味です。