リースバック契約の必要書類は? 手続きごとに書類と入手方法を解説【2024年最新】

デスクに広げた資料をめくる人物

リースバックは、自宅を売買して賃貸借契約を結ぶ不動産サービスです。仕組み自体は通常の不動産取引と同様ですが、リースバックを行う際はさまざまな書類が必要です。

ある程度事前に準備しておくことで、実際に申し込んでから慌てて用意する事態を回避できます。また、紛失した書類がある場合、再発行の手段から調べなくてはいけません。

この記事では、リースバック契約時の必要書類や入手方法をまとめます。手続きの流れに沿って解説しますので、リースバックを検討中の方はぜひお役立てください。

なお、リースバックについての基本知識等の詳細解説と大手リースバック会社の比較は以下の記事も合わせてご覧下さい。

記事執筆・監修
著者紹介 プロフィール写真

穴吹興産 竹島 健

区分投資事業部 企画系(バックオフィス)課長

【資格】
・宅地建物取引主任者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士

【経歴】営業マンとして新築マンションで12年、その後7年間リースバックを中心に中古マンション買取事業に従事。優秀営業マン賞等受賞。現在は経験を活かしてリースバック検討に役立つ情報を発信。

リースバックの取材に関する窓口はこちらstock_mansion@anabuki-kosan.co.jp

目次

リースバックの手続きの流れ

「How To…」と書かれた小さい黒板を囲むメモや色鉛筆

まずは、リースバックの手続きの流れから確認しましょう。リースバックの申し込みから契約成立まで、5つの手順に分けて説明します。

1.不動産会社への相談と仮査定

はじめに、リースバックを依頼したい不動産会社へ相談しましょう。机上査定とも呼ばれる「仮査定」を申し込むと、売買金額と家賃の簡易的な査定額を算出してもらえます。

多くの場合、査定は無料で行っています。複数の不動産会社の査定結果を比較し、納得の行く査定結果だった会社に絞り込みましょう。

2.本査定・保証会社の審査

仮査定の次に行うのは、実際に現地を調査する「本査定」です。物件の経年劣化や破損箇所、隣地との境界などの状況を確認し、本査定であらためて売買金額や家賃を決定します。また、賃貸保証会社の審査も受ける必要があります。

3.契約条件の提示

賃貸保証会社の審査に通ると、不動産会社と契約が可能になります。リースバックの契約条件を不動産会社に提示してもらい、自分の希望条件も伝えて細かく擦り合わせましょう。

売買金額や家賃だけでなく、賃貸の契約種類や買い戻しの特約といった諸条件の確認も大切です。

4.売買契約と賃貸借契約

多くの場合、リースバックは「売買契約」と「賃貸借契約」を平行して進めていきます。売買契約とは、自宅や土地を売るための契約です。賃貸借契約は、売却した自宅を借りるために結びます。

5.物件の売却・賃貸開始

売買契約書の内容に従い、決済期日に不動産を売却します。売却した自宅に住み続けるための賃貸借契約が開始し、以降は毎月家賃の支払いが発生します。

本査定・審査時の必要書類

棚に並べられた書類とファイル

リースバックの本査定は物件情報を調べるため、申込者の信用情報などの厳しい調査はされません。

ただし、本査定前後に行われる賃貸保証会社の審査では、申込者の支払い能力や信用情報が調べられます。そのため、本査定・審査時は以下4つの書類が必要です。

なお、必要書類に関してはリースバック取り扱い会社によって異なります。

1.身分証明書
2.住民票の写し
3.固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書
4.収入証明書

それぞれの詳細と入手方法を解説します。

1.身分証明書

本人確認のため、身分証明書の提出が求められます。運転免許証、マイナンバーカード、パスポートといった顔写真付きの身分証明書が必要です。

顔写真付きの身分証明書を持っていない方は、代わりに健康保険証などの身分証を持参しましょう。

2.住民票の写し

住民票の写しは、住所確認を行う際に必要になります。お住まいの自治体の役所で取得できるので、窓口で申請しましょう。マイナンバーカードを持っている方は、コンビニのマルチコピー機でも発行できます。

どちらの方法でも手数料が生じますので、詳しい金額は自治体のホームページからご確認ください。

3.固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書

固定資産税納税通知書は、1月1日時点の不動産所有者に毎年1回送付される書類です。固定資産税の納税額とともに、土地と建物の評価額が記載されています。不動産会社の査定の参考資料として用いるため、保管しておきましょう。

あるいは、固定資産税納税通知書ではなく、同じく不動産の評価額が表記された「固定資産評価証明書」を求められる場合もあります。東京都23区は都税事務所、その他地域は役所で取得可能です。

なお、固定資産税納税通知書は紛失しても再発行できません。固定資産評価証明書で代替できるか、不動産会社に問い合わせてみてください。

4.収入証明書

賃貸保証会社が家賃の支払い能力を調べる際、収入証明書の提出が必要です。収入証明書は、以下の書類が該当します。

・源泉徴収票、給与明細書:勤務先で入手
・確定申告書の控え:確定申告時に入手
・年金振込通知書、年金額改定通知書:日本年金機構から送付

上記いずれかのうち、ご自身が取得できる収入証明書を用意しましょう。

売買契約と賃貸借契約時の必要書類

契約書にサインする手元

通常、リースバックの売買契約と賃貸借契約手続きは平行して進めます。リースバックの契約時の必要書類は、通常の不動産売買や賃貸借契約と変わりません。

売買契約と賃貸借契約を結ぶ際は一般的に身分証明書のほか、下記3つの書類が必要となります。

1.印鑑証明書と実印
2.登記識別情報通知または権利証
3.売買契約書と賃貸借契約書

上記3つの書類について、詳しく見ていきましょう。

1.印鑑証明書と実印

契約書にサインする際、印鑑証明書と実印が求められることがあります。印鑑証明書は、役所の窓口に「印鑑登録証(印鑑登録カード)」を持参して発行します。印鑑登録証を持っていない方でもマイナンバーカードがあれば、コンビニのマルチコピー機やオンライン申請で取得可能です。

マイナンバーカードと印鑑登録証のどちらも持っていない場合、まずは役所窓口に実印を持っていき印鑑登録を済ませましょう。「印鑑登録証(印鑑登録カード)」を受け取った後、印鑑証明書を発行します。

契約書の押印は実印ではなく、認印で済ませることも多くなっていますが、決済時には必ず必要となります。

2.登記識別情報通知または権利証

登記識別情報通知とは、不動産の所有者になった際に郵送または法務局窓口で受け取る書類です。12桁の登記識別情報が記載されており、リースバックする不動産の所有者を証明するために提出します。

登記識別情報通知ではなく、権利証(登記済証)を所持しているケースもあります。権利証とは、2005年3月7日の法改正前に交付されていた不動産の証明書です。

ただし、各法務局ごとに、登記識別情報通知へ切り替わったタイミングは異なります。2005年3月7日以降に不動産を取得した方でも、権利証を所持している可能性があります。

紛失した場合の対処法

登記識別情報通知または権利証を紛失しても、再発行できません。紛失した際は、以下3つのいずれかの方法で代用しましょう。

代替方法概要
事前通知制度権利証・登記識別情報通知を紛失した旨を記して登記申請する。真実性を確認する通知が届き、案内に従って手続きする
資格者代理人による本人確認司法書士などの代理人に登記申請をしてもらう
公証人による認証制度登記申請する際に公証人の認証文書を提出する

3.売買契約書と賃貸借契約書

売買契約書と賃貸借契約書は、リースバックを行う不動産会社が用意します。自分で用意する書類ではないものの、記載内容はチェックが必要です。自分の希望条件に沿っているか必ず確認しましょう。

▼リースバックの契約書の記載内容や確認ポイントについてはこちらで詳しく説明しています。

不動産会社や条件次第で必要になる書類

カラフルな人間のシルエット

自宅などの条件や不動産会社によっては、追加で必要になる書類も存在します。主な書類は、次の9つです。

1.住宅ローンの残高明細書
2.保証人関連書類
3.購入時の重要事項説明書
4.自宅の図面
5.(一戸建ての場合)建築確認通知書
6.(一戸建ての場合)境界確定書
7.(一戸建ての場合)掘削承諾書
8.(マンションの場合)管理規約や修繕計画の書類
9.医師の診断書

各書類の役割と必要性を紹介します。

1.住宅ローンの残高明細書

住宅ローンを支払い終わっていないと、住宅ローンの残高明細書の提出が求められます。住宅ローンを借り入れた金融機関に問い合わせ、発行しましょう。

ちなみに、リースバックを利用する際に残っている住宅ローンは、自宅の売却代金で完済する仕組みです。

売却金額よりも住宅ローン残債のほうが高いと、契約段階でローンを完済できません。その場合リースバックを契約できないため、残高の確認が必要になるわけです。

2.保証人関連書類

売却した自宅には家賃を支払って住むため、万一の家賃滞納に備えて「保証人」または「連帯保証人」をつけなくてはいけない場合があります。その際は、保証人または連帯保証人の本人確認書類を用意しましょう。ただし、リースバックは保証人や連帯保証人を求めず、賃貸保証会社の利用を条件とする不動産会社が一般的です。

▼リースバック契約における保証人や保証会社の詳細は、以下の記事をご覧ください。

3.購入時の重要事項説明書

購入時の重要事項説明書とは、自宅の購入時に不動産会社から渡されている書面です。宅地建物取引業法にもとづき、物件の権利関係や各種制限といった項目が記されています。

紛失した方は、自宅の売買を仲介した不動産会社に問い合わせてみてください。重要事項説明書のコピーをもらえる場合があります。また、不動産会社の仲介なしで個人同士で直接取引したのであれば、そもそも重要事項説明書が交付されていません。提出を求められた際は、その旨を伝えてください。

4.自宅の図面

不動産会社によっては、自宅の間取り図や土地の測量図などの図面が必要になることがあります。各種図面は、自宅の建築・購入時に建設会社や不動産会社から受け取っています。手元にない場合、紛失している旨を伝えましょう。

5.(一戸建ての場合)建築確認通知書

一戸建てにお住まいであれば、建築確認通知書を求められる場合があります。建築確認通知書とは、建築予定の建物が建築基準法に適合していると証明する書類です。

「建築確認済証」とも言い、自宅の建築時に建設会社から渡されています。紛失しても再発行できませんが、役所で発行できる「建築計画概要書」や「台帳記載事項証明書」で代用可能です。

6.(一戸建ての場合)境界確定書

境界確定書とは、測量により隣接地との境界を確定させた書面です。一戸建ての売却後、隣人とのトラブルを防ぐために求められる可能性があります。

境界確定書を作成する際は、隣人と相談の上で土地家屋調査士に依頼しましょう。登記の必要がない測定の場合、測量士へも依頼可能です。

7.(一戸建ての場合)掘削承諾書

掘削承諾書とは、私道の地面掘削を許可する書類です。ガスや水道管などの工事を行う際、私道の所有者の許可が必要です。そのため、土地が公道と接しておらず、私道のみと接している一戸建ては掘削承諾書を求められることがあります。

8.(マンションの場合)管理規約や修繕計画の書類

マンションにお住まいの方は、不動産会社によってはマンションの管理規約や修繕計画の書類が必要になります。

修繕積立金額や収支決算、管理状況などの情報が、物件の評価額に影響するためです。お持ちでない場合、マンション管理会社に問い合わせましょう。

9.医師の診断書

高齢の方は、不動産会社によっては医師の診断書を求める場合があります。具体的にどのような診察内容を必要とするかは、不動産会社ごとに違います。診断書の提出を求められた際は、不動産会社に詳しく案内してもらいましょう。

リースバックの必要書類の一覧表

チェックリストと赤いペン

ここまで紹介したリースバックの必要書類を一覧表にまとめます。書類を準備する際にぜひご活用ください。

◆審査・査定時の必要書類

書類名該当書類や入手方法
身分証明書運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、健康保険証 など
住民票の写し役所窓口やコンビニのマルチコピー機で取得
固定資産税納税通知書または固定資産評価証明書固定資産税納税通知書:毎年1回送付される 固定資産評価証明書:東京都23区は都税事務所、その他地域は役所で取得
収入証明書源泉徴収票、給与明細書、確定申告書の控え、年金振込通知書、年金額改定通知書 など

◆売買・賃貸借契約時の必要書類

書類名該当書類や入手方法
身分証明書運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、健康保険証 など
印鑑証明書と実印役所窓口やコンビニのマルチコピー機で取得
登記識別情報通知または権利証郵送や法務局窓口で取得
売買契約書と賃貸借契約書不動産会社が作成

◆不動産会社や条件次第で必要になる書類

書類名該当書類や入手方法必要になる可能性がある条件
住宅ローンの残高明細書住宅ローンを借入した銀行から発行される住宅ローン残債がある
保証人関連書類保証人の本人確認書類保証人または連帯保証人が必要
購入時の重要事項説明書自宅の購入時に不動産会社から交付不動産会社による
自宅の図面間取り図、土地の測量図 など不動産会社による
建築確認通知書自宅の建築時に建設会社から交付一戸建て住宅
境界確定書土地家屋調査士に依頼して作成一戸建て住宅
掘削承諾書私道の所有者に依頼し作成私道のみに面する一戸建て住宅
管理規約や修繕計画の書類マンション管理会社から交付マンション
医師の診断書医師の診察を受ける高齢な方

リースバックの必要書類は余裕を持って揃えよう

スマホを片手に持ちながらノートに書き込む人

自宅をリースバックする際の必要書類は多いため、余裕を持って準備しましょう。中には、取得に時間がかかる書類も存在します。たとえば印鑑証明書は、マイナンバーカードがなければ実印登録からしなくてはいけません。

加えて、紛失した書類があれば、再発行手続きが必要です。書類の準備が遅れると、リースバックのスケジュールも後ろ倒しになるかもしれません。さらに、発行の申請をする際に、費用が生じるケースもあります。できる限り事前に準備して、スムーズに手続きを進めましょう。

手続きの段階や条件によってリースバックの必要書類は異なる

リースバックの契約時に必要な書類は、手続きの段階によって異なります。大きく分けて「審査・査定時」と「売買・賃貸借契約時」の2つのタイミングがあるので、手続きを進める際は必要書類の違いに注意しましょう。また、人によっては、不動産会社や条件次第で必要になる書類もあります。リースバックを行う不動産会社の案内を参考にして、わからない点があれば相談しましょう。

  • URLをコピーしました!
目次