リースバックを利用する際に知っておきたい「事業者側からみたリースバック物件の魅力」

家の模型と資料

リースバックは売却した物件に引き続き住み続けることが可能な資金調達手段です。

事業者にとっては、割安で物件を購入でき賃料収入や売却益が見込めます。

この記事では、リースバックサービス提供の理由や事業者のメリットなどをリースバック物件の扱いとともに解説しています。

リースバックは、いま住んでいる住宅物件を売却して大きな資金を得られつつも、引っ越さずにそのまま住み続けられるという大変便利なサービスです。

しかし、便利なサービスであるがゆえに、「そんなにうまい話があるものか」と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

仕組み自体にきちんと納得したうえで利用を検討するために、この記事では「事業者がなぜリースバックサービスを提供するのか」「事業者にはどんな利益や利点があるのか」など事業者側からみたリースバック物件の魅力を中心に解説します。

なお、リースバックについての基本知識等の詳細解説と大手リースバック会社の比較は以下の記事も合わせてご覧下さい。

長期で住める、柔軟な家賃設定、設備修繕対応
「あなぶきのリースバック」
目次

事業者はリースバック物件を「利回り商品」として購入する

投資家とグラフ

利用者にとって多くのメリットがあるのがリースバックという仕組みです。

ただ、不動産会社などの事業者がリースバックサービスを提供している目的は、利用者をサポートしたり、利用者の負担を軽減したりすることだけではありません。

当然のことながら、事業者がリースバック物件を購入する理由には事業側にとっての利点(メリット)もあります。

家賃収入や将来的な転売まで見越して物件を購入

まず、リースバックで購入した物件の利用法について確認しておきましょう。

事業者は賃料(家賃)収入を得ること、その後は売却することを見越して物件を購入します。

自社が使用することを目的として購入するわけではなく、収益を目的としているのがリースバックです。

つまり、事業者にとっては収益性が大きなメリットとなっています。

事業者にとっては「市場価格より少し安く物件を購入できる」というメリットがある

リースバックサービスを提供することで、購入した物件が収益をもたらすわけですが、単に家賃や売却による利益が出るというだけではありません。

事業者にとってリースバックには、市場価格(相場)よりも安価で物件を購入できるメリットもあります。

リースバックの利用者は、自宅を売却しながらも引き続き住み続けることが可能です。

それもあって、売却額(事業者にとっての購入額)が割安になりやすいといえます。

物件購入額や家賃と「期待利回り」の関係性

事業者にとってリースバック物件は「利回り商品」となっています。そのため、リースバック物件を購入するにあたり、購入額と賃貸で得られる家賃、期待利回りの関係が重要です。

リースバック物件は相場よりも安く購入できるため、同じ家賃であれば他の物件よりも期待利回りが大きくなります。

また、将来賃借人が将来退去した際には、リースバック事業者は安く購入した物件を相場金額価格で売却することができます。

さらにリフォームなどを行うことで相場以上に高く売ることも可能になります。

安く買って高く売ることで、大きな利回りを期待できる点は、不動産投資の基本です。

この点でもリースバックは事業者にとってメリットが大きいといえます。

一般的な不動産投資で事業者や投資家が利益を得る仕組み

利益が積みあがるイメージ

リースバックは不動産投資の一種ですが、ここでは一般的な不動産投資において事業者や投資家が利益を得る仕組みについて確認しておきましょう。

そもそも不動産投資とは

そもそも不動産投資とは、転売や賃貸借契約に基づく家賃収入による利益を目論んで行われる土地や建物への投資です。

転売の場合でいえば、不動産に投資した金額(購入金額)よりも高く売却できればその差額を利益(売却益)として得られます。

売却益をキャピタルゲイン、家賃による利益をインカムゲインと呼んでいます。

不動産投資では、自己の居住用として物件を購入する場合とは異なり、購入希望者や入居希望者が多く集まりそうな物件を購入することが重要です。

人気物件であれば、売却益が大きくなったり、家賃を高めに設定してもすぐに入居者が決まったりする可能性が高いでしょう。

逆に不人気物件を購入してしまうと、いつまでも売れなかったり空室が続いたりした結果、値引きしたり家賃を下げたりする必要が生じかねません。

不動産投資では利回りが重要です。

利回りは投資した金額に対する1年間の利益(不動産投資で言えば12カ月の家賃)のパーセンテージです。

利回りと似て非なる言葉に利率があります。

利率は預金などで元となる金額に対して設定された利息の率で、通常は年率で表し年利と呼びます。

利率が純粋に元本に対する利息を表すのに対し、利回りはトータルでいくらの利益になるかを表す点が大きな違いです。

不動産投資の期待利回りは、立地によって異なっており区分所有マンションの場合3~8%程度だといわれています。

築年数によっても期待利回りは異なり、新築で3%、購入金額が下がる古い物件では8%といった数字です。一戸建ては10%以上が目安となっています。

期待利回りは「不動産投資におけるリスク」と言い換えることもでき、期待利回りが低いということはそれだけリスクが低い投資物件で、利回りが高い物件はリスクも高い物件と言うことができます。

家賃収入、売却益、節税対策など利益を得る方法はケースバイケース

不動産投資で利益を得る方法は、前述の家賃収入や売却益だけでなく、節税対策によるものなどケースバイケースで複数あります。

不動産投資における節税対策は、各種の費用を経費として計上し、利益(不動産所得)から控除することにより可能です。

以下の3つのうち、事業所得や譲渡所得に該当する所得を除いたものが不動産所得となります。

  • 土地や建物などの不動産の貸付け
  • 船舶や航空機の貸付け
  • 借地権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け
出典:国税庁タックスアンサー「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

必要経費としては、固定資産税や減価償却費、損害保険料、修繕費などが控除可能です。

一軒家、区分マンション、マンション一棟など買い取る物件も様々

一般の不動産投資で扱う物件はあくまでも土地や建物です。

とくに建物が多く、その種類は一軒家(戸建て)やマンション一棟丸ごと、区分所有マンション、アパートなど様々です。

事業者や投資家はその都度、自分の目的に応じた種類、より高い利回りが見込める物件を投資対象としています。

リースバック事業者が買取物件で利益を得る方法はおおきく分けて2つ

事業者と相談するシニア夫婦

不動産投資で利益を得る仕組みには売却とリースの家賃がありますが、リースバック事業者は一般に家賃収入を得た後に物件を売却するため、どちらか一方を選択するわけではありません。

両方を組み合わせて利益を得るわけですが、その方法は賃貸借契約の種別によって2つです。

リースバック事業者が買い取った物件で利益を得る2つの方法について解説します。

「定期賃貸借契約」で一定期間リース後、早々に物件を売却する

利益を得る方法の1つめは「定期賃貸借契約」と売却の組み合わせです。

リースバックの流れの中では、物件の「売主と買主」がそのまま「借主と貸主」になります。

「定期賃貸借契約」とは、その名の通り不動産をあらかじめ設定された一定期間リースする契約で、設定する期間は半年であったり1年であったり、3年であったりと様々です。

定期賃貸借契約が終了すると、賃借人は退去しなければならないため、リースバック事業者は売却スケジュールが立てやすく、長期のリースを避けて早々に売却したいニーズに適しています。

定期賃貸借契約の期間を短くすれば、物件の購入から売却までの期間を短くすることが可能です。

それだけ築年数の経過を抑えることができるなど、事業者側にとっては短期的に収益を回収できるモデルとしてメリットが大きくなります。

定期賃貸借契約には更新がないため、定期賃貸借契約でリースしている物件を引き続きリースしたい場合は、新たに定期賃貸借契約を締結する必要があります。

これは一般的には再契約と呼ばれていますが、終了した契約とは別個の契約となるため、まったくの新規契約と同じ手続きが必要となります。

定期賃貸借契約を締結する際に必要な条件は以下の3点です。

  • 期間の定めて書面で契約すること
  • 更新がないことを明記する条項を入れること
  • 更新がないことについて書面を交付して説明すること

「普通賃貸借契約」で長い間リースしつつ、長期的に家賃収入を得る

利益を得る方法の2つめは「普通賃貸借契約」と売却の組み合わせです。

「普通賃貸借契約」は、更新することで貸し続ける(住み続ける)ことが可能な契約で、マンションやアパートの賃貸借において「定期賃貸借契約」よりも一般的で広く知られています。

事業者から見ると、長く住んでもらうことで、長期間にわたって家賃収入を得ることができます。

家賃収入をどのくらい得るか、住む人の事情にあわせた柔軟性があるのかなどは事業者ごとに様々です。

普通賃貸借契約では、基本的に契約更新が続く限り物件を売却することができません。

賃貸借契約が終了することなく賃借人が退去することがなければ、リースバック事業者は賃借人退去後の転売益(キャピタルゲイン)を得ることが難しくなります。

そのため普通賃貸借契約において、リースバック事業者は賃借人退去後のキャピタルゲインよりも賃貸中のインカムゲインを得ることの方を重視する傾向があります。

結果的にリースバック事業者は、周辺の相場並み(もしくはそれ以上)の家賃を設定することが多くなります。

長期で住める、柔軟な家賃設定、設備修繕対応
「あなぶきのリースバック」

リースバック利用者にとっては、何より「自分が得できる」リースバックサービスを選ぶことが大切!

笑顔のシニア夫婦

リースバック自体の仕組みは変わらないものの、リースバックサービスの内容については事業者ごとに特徴があります。

リースバック利用者としては、数あるサービスの中から、自分に合ったサービス、自分が得できるサービスを選ぶことが重要です。そのためのポイントを3つ紹介します。

  1. 「住宅ローンを完済したうえでいくら手元に残るか」を考える
  2. 「どれだけ月々の負担が軽減されるか」を事前に計算する
  3. 「自分がその物件にいつまで住みたいか」を計画する

1.「住宅ローンを完済したうえでいくら手元に残るか」を考える

住宅ローンを返済中の物件をリースバックの対象とする場合、残債を払った後で手元に残る金額がいくらかを考える必要があります。

住宅ローンを完済できれば手元に残るお金は少しで構わないというケースならそこまで気にする必要はないかもしれません。

しかし、手元に残るお金が少ないよりは多いほうがよいでしょう。

老後の資金なども含めてまとまったお金を用意する手段としてリースバックを利用するケースでは、より得できるサービスを求めて、慎重な検討が求められるといえます。

2.「どれだけ月々の負担が軽減されるか」を事前に計算する

返済中の住宅ローンその他の債務を返済するためにリースバックを利用する場合、手元に残る金額だけでなく月々の負担額も重要なポイントとなります。

リースバックの利用によって債務を完済できる一方で、新たに家賃となるリース代金が発生するためです。

家賃は安いに越したことはありませんが、ケースによっては住宅ローンの返済額よりも家賃のほうが高くなることがあります。

また、月々の負担は減ったものの、減り幅が希望を下回るケースもあるでしょう。

リースバックを利用したものの、こんな筈ではなかったということがないように、月々の負担がどれだけ軽減されるのかを事前に計算しておくことが求められます。

3.「自分がその物件にいつまで住みたいか」を計画する

リースバックの利用に際しては、その物件にいつまで住むのか、住みたいのかを明確にしておくことが重要です。

しっかりとした居住期間の計画がなければ、望まない転居に直面するリスクがある点に注意しなければなりません。

リースバックでは定期賃貸借契約を締結するケースが少なくないといえます。

定期賃貸借契約を結んでしまうと、「物件の所有者が変わるだけでいつまでも住み続けられる」というわけにはいきません。

すでに述べたように、定期賃貸借契約には更新がなく、再契約には双方の同意が必要です。

さらに、リースバックの定期賃貸借契約で設定される期間は2年が多いといわれており、長くても3年が多いなど、長期に住む前提にはなっていません。

リースバック物件に住み続けるつもりなら、慎重なサービス選びが欠かせないといえます。

利用者に損のないリースバック事業者の選び方

「Yes」「No」のフキダシと人形

自分が得できるリースバックサービス選びは、損のないリースバック事業者選びでもあります。どのような事業者選びをすれば損がなく得できるのか。ここでは、リースバック事業者選びのポイントを3つ紹介します。

  1. リースバック実績が豊富な、安心できる事業者を選ぶ
  2. 不動産取引・不動産運用に長けた事業者を選ぶ
  3. 家賃設定が柔軟な事業者を選ぶ

1.リースバック実績が豊富な、安心できる事業者を選ぶ

ポイントの1つめは、リースバックの実績豊富な事業者、安心感ある事業者選びです。

実績豊富な事業者なら、様々な経験と蓄積されたリースバックのノウハウを活用した、利用者のニーズにマッチするサービスの提供を期待できます。

実績豊富な点で安心感はありますが、実際に担当者の説明を受けたうえで、これなら安心できると思える事業者を選ぶことが重要です。

公式サイトの情報の詳しさや問い合わせ時の電話対応など、チェックポイントは多数あります。疑

問点は遠慮せずに質問してみましょう。納得できる回答があれば、契約相手の選択肢となり得ます。

2.不動産取引・不動産運用に長けた事業者を選ぶ

2つめのポイントは不動産会社としての実績です。

リースバックの実績は当然として、その他の不動産取引・不動産運用に長けているかどうかも重要なポイントになります。

不動産の全般的な事業実績がリースバック事業に活きてくる可能性があるためです。

3.家賃設定が柔軟な事業者を選ぶ

ポイントの3つめは、家賃設定に柔軟性があるかどうかです。

普通賃貸借契約であれば、長く住みたいニーズにより適しています。

また、柔軟な家賃設定に対応している事業者であれば、利用者の損にならない契約を見込める可能性も高いでしょう。

家賃をどのくらいに抑えたいか、希望を伝えて相談に乗ってもらえるかどうかのチェックも欠かせません。

リースバックは利用者も事業者も利益を得られる仕組み

リースバックは資金需要のある利用者のニーズに応えるサービスです。

住宅ローンをはじめとする月々の負担を軽くしたい、事業資金を調達したい、老後の資金に充当したいといったニーズをもつ利用者が所有する物件を短期間で現金化できます。

しかも、それまでと変わらずそのまま住み続けることが可能です。

事業者にとっては相場より低い金額で物件を購入でき、入居者を募集する手間をかけずに家賃収入を確保できるメリットがあります。

賃貸借契約が終われば売却も可能。このように、双方が利益を得られる仕組みがリースバックです。

資金調達の手段として、よりお得なサービス、信頼できる事業者を選んで利用しましょう。

長期で住める、柔軟な家賃設定、設備修繕対応
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記事の執筆・監修

2005年穴吹興産株式会社入社。区分投資事業部のバックオフィス系課長。
【資格】
・宅地建物取引主任者
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
営業マンとして7年間リースバックを中心に中古マンション買取事業に従事。数多くのリースバック案件を経験。優秀営業マン賞を受賞。新築マンションの販売も10年以上経験。

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