リースバックを検討している人の中には、査定で提示される買取金額(売買価格)・家賃がどれくらいになるのか疑問に思われている人もいるのではないでしょうか。
今回はリースバックの査定がどのように行われているのか、リースバック事業者である穴吹興産が5分以内で分かりやすく解説します。
なお、リースバックについての基本知識等の詳細解説と大手リースバック会社の比較は以下の記事も合わせてご覧下さい。
穴吹興産 竹島 健
区分投資事業部 企画系(バックオフィス)課長
【資格】
・宅地建物取引主任者
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
【経歴】営業マンとして新築マンションで12年、その後7年間リースバックを中心に中古マンション買取事業に従事。優秀営業マン賞等受賞。現在は経験を活かしてリースバック検討に役立つ情報を発信。
リースバックの取材に関する窓口はこちら:stock_mansion@anabuki-kosan.co.jp
リースバックの査定の基準は?
リースバック関連のサイトでは、リースバックの売買価格と家賃の相場について以下のように説明されることが多くなっています。
売買価格:通常の売買相場の60%~80%
家賃:年間の家賃が売買価格の10分の1となる設定(例:売買価格2,000万円の場合の年間家賃は200万円。月々にして16.6万円)
では、なぜそのような売買価格・家賃になるのでしょうか。売買価格と家賃に分けて、出来るだけ簡潔に説明をします。
なぜリースバックの売買金額が通常売却より低く、家賃は売買価格の10分の1になるのか知りたい
リースバックの売買金額
リースバックの買手は不動産系の会社となる場合が多くなっています(一部金融系等不動産会社以外が取り扱っているサービスもあります)。
つまり、リースバックは不動産会社による買取の一種と考えることができます。
一般的に不動産会社による買取で売却をする場合、売買相場の70%~80%と安くなります。
一方、リースバックの売買金額は60%~80%と通常の買取金額と比べて少し幅があります。なぜ、通常の買取価格より安くなってしまうのでしょうか。
理由は、リースバックの場合、経過する賃貸期間によって建物の価値が減少し将来的な不動産相場の下落等を考慮する必要があるからです。
今は3,000万円で売れるマンションが3年後・5年後に3,000万円で売却できる保証はなく、むしろ築年数の経過と共に価値は減少すると考えられます。そのため、通常の買取金額と比べ低い金額となる場合があるのです。
通常の買取リースバックの方が売買金額が低くなるのは不動産を保有するリスクが事業者にあるからということですか?
今はマンションの価格も上昇傾向ですが、長期で考えた時には下落することもあります。不動産には常に相場変動リスクが存在しています
成約価格(相場)が基準
リースバックの査定をされた方の中には、売買相場の60%~80%どころか相場の半分だっと肩を落とす方もいます。
実はこの売買相場という言葉について、誤解されているケースも多くありますので簡単に解説します。
売買相場という言葉には、実は2種類の意味があります。
成約価格
一つは「成約価格」で実際に売買が成立した金額を指します。
これは、不動産会社しか見ることが出来ないREINS(レインズ)というサイト内で確認することができます。リースバックの不動産会社は基本的にREINSを基準に売買金額を査定しています。
レインズは一般の人には見ることができないのでしょうか?
残念ですが、現在のところ宅建業者でなければ見ることができません。
売出価格
もう一つは「売出価格」です。これは過去の成約価格を基準に設定する市場に売り出す金額になります。注意しなければならない点は、売出価格は成約した価格ではないということです。
売主としては少しでも高く売れた方が良いので、成約価格と比べると高く売出すことが多くなっています(通常成約価格の110%~120%)。
売出価格は言い換えれば売却希望価格と言えます。
気を付けなればいけないのは、リースバックの査定では売出価格ではなく成約価格を基準に査定をしているということです。
例えば、過去の成約相場が2,000万円のマンションがあるとします。
現在、このマンション内では現在売出中の物件があります。その売出価格は成約価格の2割高い2,400万円となっています。
このマンションと同じタイプのお部屋をリースバックで査定を依頼したとします。
売出価格を基準に考えると2,400万円の70%で1,680万円前後がリースバックにおける売買価格であると考えることができます。
しかし、リースバック会社はあくまで成約価格を元に査定をするため成約相場である2,000万円の70 %となる1,400万円の査定となります。
ここで280万円の差がありますが、特に査定が安いと感じられる場合は、売出価格ではなく実際の成約相場も合わせて査定会社に確認することをお勧めします。
1社だけでは査定が良いのか悪いのかが分からないですよね
査定額が低いと感じた場合には、複数の会社に査定の依頼を行い比較することが最も良い確認方法になります
リースバックの家賃設定
続いて家賃はどのように決められているのでしょうか。
これはリースバック事業者である買主視点で考えると分かりやすいでしょう。
買主(リースバック事業者)の視点で考えるとリースバックで不動産を購入することは、その後の家賃が入ってくる点において投資用不動産を購入することと同じです。
投資用不動産の場合は、売買代金を家賃として何年で回収できるかという視点で計算をします。これを投資利回りと呼びます。
リースバックの場合は、投資用マンションとしての期待投資利回りが3%台~10%台と非常に幅があり、マンション・戸建ての違いや築年数や立地等によっても異なります。
利回りが高くなる程、出資する投資家に有利となり、例えば利回り10%だと10年間の家賃で売買代金を回収できるということになります。
ではリースバック事業者はどの程度の利回り設定で家賃を計算しているのでしょうか。
以下はマンションの場合ですが、売買価格・利回り・家賃の早見表となります(売買金額は2,000万円と仮定)。※穴吹興産 独自の調査に基づき作成
利回り | 想定家賃 | 立地 | 駅距離 | 築年数 | 利回り解説 | |
---|---|---|---|---|---|---|
3%以下 (取扱難) | - | - | - | - | 1年以内の定期借家契約等で対応できる場合あり。 | |
3%~4%台 | 5万~ 8.3万 | 超都市部 | 5分以内 | 5年~10年前後 | 都市部の一部の物件で対応。 | |
4%~5%台 | 8.3万~ 9.9万 | 都市部 | 5分~8分 | 10年~15年前後 | 都市部の一部の物件で対応。 | |
5%~6%台 | 9.9万~ 11.5万 | 都市部・地方都市 | 8分~10分 | 15年~20年前後 | 一般的な利回り設定。 | |
7%~8%台 | 11.5万~ 14.8万 | 地方都市 | 8分~15分 | 20年~30年前後 | 立地・築年数次第でやや高い利回り。 | |
8%~9%台 | 14.8万~ 16.5万 | 地方都市 | 8分~15分 | 30年以上 | 立地・築年数次第で高い利回り。 | |
10%以上 | 16.5万~ | 地方都市 | 15分以上 | 30年以上 | 利回りは高くなりやすい |
超都市部 :東京都(23区)、大阪府(市内)の中心部
都市部 :関東圏・関西圏・愛知県・福岡県の都市部
地方・郊外:上記都市以外
例えばマンションであれば、家賃の基準である「利回り」の違いは立地であることが分かります
資産性の高く人気の立地にある方が、利回りが低い、つまり売買金額に対する家賃が低くなる傾向がある訳ですね!
2種類の賃貸借契約
リースバックにおける賃貸借契約が、「普通賃貸借契約」なのか「定期賃貸借契約」なのかによっても家賃設定は異なります。
普通賃貸借契約
この形態の賃貸借契約は一般的な賃貸借契約のため長期で賃貸する可能性が高いため、前述の通り一定の年数で売買代金を回収する必要があります。
そのため、周辺相場の家賃と比べて割高となる場合があります。
定期賃貸借契約
定期賃貸借契約の場合は、最初から賃貸する期間が決まっていることから、賃借人が退去した後に売却という手段で売買代金を回収することができます。
そのため必ずしも家賃で回収する必要がありません。
そのため、普通賃貸借契約と比べて賃料を低く設定することが可能です。会社によっては短期のリースバックであれば、1年間は家賃が無料といった商品もあります。
普通賃貸借契約と定期賃貸借契約の違いについて以下をご覧ください。
リースバック査定の具体例
ここで一般的なリースバックの参考査定事例をご紹介します。
査定の一例①
成約相場:2,000万円
- リースバック時売買金額:1,200万円~1,600万円(成約価格の60%~80%)
- 家賃:10万円~13.3万円(売買価格の10%が年間の家賃)
- 賃貸形態:普通賃貸借契約
査定の一例②
成約相場:3,000万円
- リースバック時売買金額:1,800万円~2,400万円(成約価格の60%~80%)
- 15万円~20万円(売買価格の10%が年間の家賃)
- 賃貸形態:普通賃貸借契約
査定の一例③
成約相場:4,000万円
- リースバック時売買金額:2,400万円~3,200万円(成約価格の60%~80%)
- 家賃:20万円~26.6万円(売買価格の10%が年間の家賃)
- 賃貸形態:普通賃貸借契約
※短期の定期賃貸借契約の場合は、家賃が低くできることもあります。
リースバック会社によって利回り基準がことなるため、必ずしも上記のようなリースバック査定になるとは限りませんが参考としてご覧下さい。
「あなぶきのリースバック」の査定基準は?
あなぶきのリースバックの査定(マンション専門)は一般的なリースバックの査定と比べてどのような違いがあるのでしょうか。
売買金額
売買金額に関しては、マンションの成約相場を元に査定を行っています。
あなぶきのリースバックでは、マンションの立地条件だけでなくマンションの日当たり・眺望・向き等を考慮して査定をしていますので、同じマンション内でも部屋位置によって査定金額が異なるケースがあります。
また、ルーフバルコニー等の付加価値がある住戸に関しては付加価値を加算して査定をしています。
家賃
あなぶきのリースバックは、家賃で売買代金を回収することを目的としていないため柔軟な家賃設定が可能となっています。
リースバックをされる方が、将来的に無理なく支払っていける額を設定できることがあなぶきのリースバックが支持されている理由となります。
また、あなぶきのリースバックは賃貸期間が制限される「定期賃貸借契約」ではなく「普通賃貸借契約」となるため長期で安心して住み続けることができることが特徴となっています。
あなぶきのリースバックにお問い合わせを頂く方の多くは、長期で住むことを前提に家賃設定を抑えたいというご要望があります
長期で住むことを考えた場合、売買金額よりも家賃を重視した方がトータルで得な場合もありますよね
他のリースバック検討者がどのような人で何を重視しているかについての市場調査を行いましたので以下も参考にして下さい
リースバック査定の根拠を聞いてみよう!
もし、リースバックの査定を提示されたけど、売買金額や家賃が適切かどうか分からずお悩みの場合は、上記査定の根拠を参考にして下さい。
また、査定について疑問の思われた場合は思い切って査定の根拠(過去の成約事例等)を担当者に確認してみましょう。
また、複数社の査定を比較して検討したい場合は、リースバックの一括査定に依頼することもお勧めです。