2024年3月の日銀のマイナス金利政策の解除によって、将来的な住宅ローンの支払いが不安な方も多いことでしょう。
一般的な生活面で預金の金利が上がることはメリットになるものの、金融機関から資金を借りる側としては不安要素につながり、将来的な住宅ローンの金利上昇による負担もまた懸念されています。
住宅ローンの金利上昇に伴い支払い金額が増えていくため、家計の負担削減についても早めに検討することが大切です。
今回の日銀のマイナス金利政策の解除による住宅ローンの支払いの不安から、リースバックを検討し始める方も多いことでしょう。
リースバックは、金利上昇による住宅ローンの負担増で資金繰りが不安な際の解決方法のひとつです。
本記事では、不動産の金利や住宅ローンに関する基礎知識から、リースバックの仕組み、リバースモーゲージとの比較について、詳しく解説します。
気になる金利の悩みの解決にぜひお役立てください。
なお、リースバックについての基本知識等の詳細解説と大手リースバック会社の比較は以下の記事も合わせてご覧下さい。
穴吹興産 竹島 健
区分投資事業部 企画系(バックオフィス)課長
【資格】
・宅地建物取引主任者
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
【経歴】営業マンとして新築マンションで12年、その後7年間リースバックを中心に中古マンション買取事業に従事。優秀営業マン賞等受賞。現在は経験を活かしてリースバック検討に役立つ情報を発信。
リースバックの取材に関する窓口はこちら:stock_mansion@anabuki-kosan.co.jp
家の購入で避けては通れない金利問題
マンションや一戸建てなどの住宅を購入する場合には、一括で購入するか、住宅ローンを利用して購入するか、という選択肢があります。
住宅購入費用を一括で支払ってしまえば、お金を借りる必要がないため、その後に利息を支払う必要もありません。
しかし家のように高額な不動産を一括払いで買うにはまとまった資金を用意しなければならないため、多くの場合は住宅ローンを利用することになるでしょう。
住宅ローンを完済するまでの一般的な期間は30年〜35年です。そのため、住宅ローンを組むと長年にわたって金利負担とも付き合っていかなければなりません。
住宅ローン金利の特徴
住宅ローンの金利は、住宅ローンを申し込む金融機関によって異なり、各金融機関の店頭やWEBなど申し込み方法によっても変わることがあります。
金利だけを見ると数パーセントの違いではありますが、月々の返済額にすると数万円の違いになるため、金利の支払いを計画的に検討することが大切です。
住宅ローンの金利では、下記のように金利タイプと呼ばれる3つの種類があります。
住宅ローンの金利タイプ | |
---|---|
変動金利型 | 金融情勢に伴い返済期間中に金利が変動する |
全期間固定金利型 | 借入から返済までの金利が確定されている |
固定金利期間選択型 | 借入から一定期間の金利が固定され、期間終了時に固定金利期間選択型または変動金利型を選択するタイプ |
変動金利の見直しによる注意点
変動金利型の金利は、これまで固定金利型よりも低くなる傾向にありましたが、金利の見直しによって金利の割合が変わるため金利変動のリスクは高くなります。
今回の日銀のマイナス金利政策の解除においても、変動金利型の住宅ローンの懸念が取り上げられているため、長期的に検討した上で判断することも大切です。
金利の上昇で住宅ローンの返済額も増えることから、当初の計画よりも負担が大きくなる可能性があるため注意しましょう。
変動金利型の金利の見直しは、一般的に半年に一度の頻度で行われますが、突然の金利上昇の負担を軽減させるために「5年ルール」や「125%ルール」という仕組みもあります。
「5年ルール」は、金利が上昇しても5年間は返済額が変わらず、6年目から変わるものです。「125%ルール」は、その際の返済額の上昇率の上限を125%とする決まりです。
しかし、これらのルールによって毎月の返済額の上昇は抑えられるものの、増えた利息が減るわけではありません。
元金の返済が先延ばしにされ、利息の支払いだけで月々の返済額を超えると未払い利息が発生するため、メリットだけでなくデメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。
リースバックの仕組みと金利負担
リースバックを利用する理由と仕組み
リースバックを利用する背景には、上記で解説したような住宅ローンの負担が大きくなったときや、まとまった資金が必要になったとき、などが挙げられます。
病気の治療費などで急に大きなお金が必要になる、といったケースもあり、リースバックを利用する理由はさまざまですが、お金を借りる手段の代わりとしても役立つ方法です。
リースバックは、まず所有して住んでいる家を売り、売却によってまとまったお金を手にすると同時に、その家の賃貸借契約を結び、家賃を支払うことで同じ家に住み続けられるという仕組みです。
引っ越しをすることなく、自宅を売却し現金化できる仕組みのため、生活環境が変わることによる大きな負担もありません。
住宅ローンが残っている物件の場合でも、リースバックの取引が可能な状況であれば、売買代金で全ての債務を完済させることができます。
住宅ローンを完済させるためには、家の売却価格が住宅ローンの残高を上回っている必要があるため、あらかじめ債務額をよく確認しておきましょう。
▼リースバック利用者の様々な検討理由、利用状況などはこちらの記事で詳しく解説しています。
リースバック利用で金利負担はなくなる?
リースバックの仕組みからもわかるように、リースバックの契約を行うと住宅ローンを借りている状況もなくなるため、住宅ローンの金利負担からは解放されます。
そのため、リースバックは直接的に金利が影響を受けなくする方法でもあります。
変動金利型の住宅ローンのような、金利の上昇の負担を直接受けないことは安心につながるでしょう。
住宅ローンの金利が高い場合は、リースバックの方がお得になる可能性が高いといえます。
しかし金利の負担がなくなったからといって、金銭的な負担が必ず軽減されるとは言い切れません。
金利負担の問題解決にリースバックを利用する際には、リースバックによる家賃負担との比較を行うと役立ちます。
月々の住宅ローンの支払金額よりもリースバックによる賃料負担額が低くなれば、実質的に毎月の負担額は減ることになるでしょう。
ただし全体的な経済面で見ると、売却金額やその他の資金調達方法と比較した場合に必ずしもリースバックが有利な条件とはいえません。
リースバックのメリットとデメリットをよく理解したうえで、自身にとって最適な選択肢を選ぶことが大切です。
リースバックの他に資金調達できる方法
リースバックの他にも、資金が必要なときの対策として不動産を活用する方法は複数あります。
よく挙げられる方法に「リバースモーゲージ」と「不動産担保ローン」がありますが、これらはどちらもリースバックとは違い、お金を借りる方法です。
そのため、金利が発生することを把握しておきましょう。検討の際には、リースバックとの違いをおさえておくことが大切です。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージは、自宅を担保にして資金を借入する方法です。リースバックと同じように、自宅に住み続けながら契約することができます。
契約者が存命している間は利息分のみの返済を行い、契約者が亡くなった時に、自宅を売却して元金の返済に充てるのが特徴です。
リバースモーゲージは、事業資金や投資資金に使うことが禁止されていたり、商品によっては資金用途が制限されていたりすることがあります。
また、配偶者以外の同居人がいると利用できない場合がある、年齢制限があるなど、さまざまな利用条件もあるため個々に確認が必要です。
金利については、変動金利型のタイプが多いため、金利上昇によるリスクがあることも注意しましょう。
不動産担保ローン
不動産担保ローンは、所有している不動産を担保にして資金を借入する方法です。自宅を担保にすることも可能なため、リースバックと同じように、自宅に住み続けながらまとまった資金を手にすることもできます。
また、家だけでなく、駐車場や土地なども担保にでき、サービス内容によっては家族名義の不動産を担保にすることも可能です。しかし、自宅を担保にした場合は総量規制の対象となるため注意しましょう。
不動産担保ローンは、無担保で借りるローンよりも低い金利で借りられることが期待できます。
また、1億円規模の高額な融資を受けられる可能性があることや、リバースモーゲージと比較して資金用途の自由度が高いことも特徴として挙げられます。
しかし審査などには一定の時間がかかるため、緊急の場合などには不向きです。
またリースバックでは、事業者との直接取引で売却における仲介手数料がかからないといった、手数料面でのメリットが挙げられますが、不動産担保ローンでは手数料の負担があることがデメリットのひとつとなっています。
リースバックとリバースモーゲージの違いは?
リースバックとリバースモーゲージは、どちらも不動産を活用して資金調達ができることや、名称が似ていることから混同されがちですが、根本的に仕組みが違います。
資金調達の際に自宅に住み続けることができる、老後の生活資金に役立てることができるなどの共通点はありますが、不動産の契約スタイルとしては全く違う方法のため注意しましょう。
契約のベースとして、リースバックの方は不動産の売買契約と賃貸借契約、リバースモーゲージの方は不動産を担保とした融資契約となります。
リースバックが不動産の取引であるのに対して、リバースモーゲージは融資の金融商品です。
また、大きな違いのひとつに自宅の所有権の有無があります。リースバックでは取引によって所有権が移転しますが、リバースモーゲージの方は不動産を売却するわけではないため、所有権もそのままです。
▼リースバックの仕組みやリバースモーゲージとの違いについては、あわせてこちらの記事もご覧ください。
それぞれのメリットとデメリット
リースバックのメリット・デメリット
リースバックは、まとまった資金の確保が必要だけれど借金はしたくない、現在の家から引っ越しをしたくない、などの場合におすすめの方法です。
契約内容によっては将来的に買い戻せる可能性もあるため、自宅の扱い方に選択肢を持たせたうえで利用しやすいものの、契約上の環境は大きく変わるため注意も必要です。
- 自宅に住み続けながらまとまった資金調達ができる
- 売却によって得た資金の用途に制限がない
- 年齢制限などの利用条件が厳しくない場合が多い
- 住宅ローンの完済につながる
- 不動産を現金化できるため、相続面での負担が減る
- リースバックの契約によって、固定資産税や管理費、修繕費などの負担がなくなる
- 契約内容によっては、賃貸として利用したのち将来的に買い戻せる可能性がある
リースバックのメリットは、住宅ローンの金利だけでなく、固定資産税のような税金負担が気になる場合にも役立つところが特徴です。
- 自宅の所有権を失い名義も変わる
- 自宅の売却価格が、通常の売却相場より低くなる
- 家賃は買取価格に応じて設定されるため、周辺の家賃相場より高くなる可能性があり、契約の更新によって変動する可能性もある
- 賃貸借契約の種類によっては、必ずしもずっと住み続けられる保証はない
リースバックのデメリットは下記の他にも、リースバックのサービスを提供する会社とのトラブルや家族間での相続トラブルが発生する事例があるため、信頼できる会社とリースバック契約を結ぶことや、家族間で話し合いの場を設けることも大切です。
▼リースバックのメリットやデメリットについて、詳しくはこちらの記事でも解説しています。
リバースモーゲージのメリット・デメリット
リバースモーゲージは、家計への負担を減らしながら老後の生活資金調達をしたいときにおすすめの方法です。
年金の収入だけでは経済状況が厳しくなる場合や、死後に自宅を遺す必要がない場合などには役立つものの、利用においては制限やリスクがあるため、情報収集を行いよく考えてから決めましょう。
- 自宅に住み続けながら老後の資金の借入ができる
- 高齢でも融資を受けることができる
- 契約者が亡くなり不動産を売却するまでは所有権を失うことがない
- 契約者の存命中は月々の利息のみを支払えば良い
- サービス内容によって、年金のように少しずつ借り入れることもできる
リバースモーゲージのメリットは、自宅の所有権を失うことなく資金調達に役立ち、月々の返済が利息分だけで良いのが特徴です。
- 長生きした場合に融資限度額に達するおそれがある
- 所有権のある持ち家のため、固定資産税や修繕費などの負担は契約前と変わらない
- 変動金利型の商品が多く、金利変動のリスクがある
- 年齢や資金用途、同居人の有無、住宅ローンの残債の有無など、対象となる条件が厳しい
- 契約者が亡くなった後に自宅を売却するため、相続人が残債を完済できなければ相続財産から外れる
- 商品のタイプや不動産の価値下落などによって、相続人に債務負担が生じる場合がある
リバースモーゲージのデメリットとしては、金利の変動や不動産価値の変動のほか、自身が長生きすることなど、現在不明な将来のことも見据えて検討しなければいけないという点が挙げられます。
住宅ローンの金利負担解決ならリースバックがおすすめ
今住んでいる家にずっと住み続けたい思いがあり、住宅ローンの金利を負担に感じている状況であれば、リースバックはおすすめの方法です。
契約内容によっては、自己資金に余裕ができた際に買い戻すことで再度所有することもできるため、臨機応変な住み方が可能になるでしょう。
また、賃貸借契約の種類が定期賃貸借契約ではなく「普通賃貸借契約」であれば、基本的に居住者が望むだけ、いつまででもその家に住み続けられます。
「あなぶきのリースバック」は、普通賃貸借契約です。
査定は無料で、土日祝以外の平日の申し込みなら最短1日で結果がわかります。気軽に問い合わせしやすいオンラインでのご相談も受け付けております。
まとめ
不動産の売買においては、金利の負担についてよく理解しておく必要があります。
金利の負担は社会経済情勢によって変動するため、その都度臨機応変に対応することも必要になるでしょう。
住宅ローンの金利負担を削減する方法のひとつとなるリースバックですが、利用においてはメリットだけでなくデメリットも踏まえて検討することが大切です。メリット・デメリットを理解し金利負担の削減にお役立てください。
リースバックを利用した場合の事例紹介も参考に、ご自身にとっての最適な活用方法を見つけましょう。